田中賢二

1942年 東京生まれ
1963年 桑沢デザイン研究所卒
1988年 八ヶ岳の麓に灰汁発酵建の藍染の工房を移築
1990年 東京アメリカンクラブ内ギャラリーにて作品展
1997年 藍染教室『藍に遊ぶ会』主催
1998年 ドイツ シーボルトミュージアムにて作品展
1999年 ハンブルグ国立工芸博物館がタペストリーを収蔵
2004年 アメリカ、ニューヨークのギャラリーにて作品展
2007年 玉川高島屋にて作品展
2009年 松明堂ギャラリーにて作品展
     新宿高島屋にて作品展
2012年 三鷹市芸術文化センターにて『蓮』展
2013年 新宿高島屋にて作品展


 以降  毎年個展開催

田中賢二と藍染めの出会いは運命的なものでした。

元々は東京でグラフィックデザイナーとして働いていた田中が、藍染めと出会った後、

全てを捨てて夫妻で八ヶ岳の麓に移住、工房藍を開くに至るのです。

田中の作品は、本藍と造形に真摯に向き合ってきたこの40年の月日の中で培われてきました。

ひたすらに形を求め、描き、縫い絞り、染める。

その独自のアートの、高い芸術性は、他に類をみません。

本藍は、原料の希少化、後継者の不足から、日本の伝統工芸でありながら風前のともし火となっています。

これを次世代に繋いでいきたいと切に願いながら、田中の藍の世界は粛々と紡がれているのです。

 

作品例

 

ジャパンブルー・本藍の美しさ 

「ジャパンブルー」は明治初期に来日したイギリス人科学者ロバート・W・アトキンソンの言葉が起源だと言われています。

染料の研究もしていたアトキンソン氏は当時、美しく藍染された道行く人々の着物や半纏、暖簾を見て、その青を「ジャパンブルー」と表現しました。 

美しい藍で溢れていた明治時代、来日した外国の人々はその光景にとても驚き、魅了されたそうです。

一般的に「藍色」と称される色は48種存在します。

「藍四十八色」と呼ばれ、微妙な色の違いをそれぞれの色名で表します。

藍白(あいじろ)、空色(そらいろ)、薄藍(うすあい)、濃藍(こあい)など。

その中でも聞き馴染みのある、紺(こん)も藍の色のひとつ。

この本藍の美しさは、到底科学染料では出し得ない色です。

それこそが本藍の本領なのです。 

 

藍の効能と歴史 
 
藍は人類最古の染料です。アフリカ、インド、中国など世界各地で早くは紀元前2500年頃から使われていたといわれています。

日本には飛鳥時代(6世紀末~710年)に中国から解毒、解熱の漢方薬として入ってきました。

鎌倉時代(1185年~1333年)になると、武士たちが濃い色の藍を勝色として戦勝の縁起を担ぐために好んで使うようになりました。そして、江戸時代(1603年~1868年)になると、木綿が生活着の主流となり、藍が生活着を彩る染料として一般に広く普及するようになりました。 
 
ところが、19世紀にドイツで藍色の合成染料が発明されると、伝統的な手法による藍染は衰退していきます。

今では、田中氏のような伝統的な手法で藍染をしているのは日本で30軒ほどしかありません。

原材料(タデ科植物から作られる蒅)の生産者、藍染師の高齢化が進み、天然藍が姿を消しつつあります。 

 

スクモ作りの様子。発酵の過程で高温になる。

藍の原料、蒅(スクモ)作り

本藍の染料は、蓼の葉を乾燥させ、さらに発酵させて作ったスクモを原料として作られます。 

藍師によるスクモ作りはまず藍の栽培から始まります。

3月に蓼の種を蒔き、7月下旬、晴天の日に一番刈り、8月下旬、二番刈りをします。
刈った葉と茎を細かく切って選別し、葉を干し場に広げて天日で乾燥させ、葉藍を収穫します。

 

そして9月上旬の大安の日に「寝せ込み」が始まります。

寝床と呼ばれる土蔵の中に乾燥して保管してあった葉を山積みし、水を打つと葉は醗酵をはじめます。

醗酵した葉は70℃にも近づき、熱とアンモニア、水蒸気を出しながら、醗酵はすすんでいきます。

均一に醗酵させるため、5日毎に汲み上げた地下水を打ち、よくかき混ぜる「切り返し」作業をします。

室温は60℃を超え、醗酵によるアンモニア臭がたち込める部屋の中で切り返す作業は大変な重労働です。

藍師は、醗酵の具合を五感で繊細に感じ取り、切り返しや水打ち回数を調整し、
寒くなればムシロをかけ、寝せこみを開始して約100日、ようやくスクモは完成します。

天然灰汁発酵建ての藍染め 

藍はもともと水に溶けません。
水に溶けない藍を水に溶かして染め液をつくることを「藍を建てる」といい、灰汁(あく)で建てることを「本建て」といいます。

スクモと灰汁を混ぜ合わせ、石灰と日本酒を加えると藍の発酵がはじまります。

定期的な攪拌をして発酵を促し、小麦の皮である麩(ふすま)を入れて数日寝かせるとことで、

ようやく布を染められる状態になります。

 

縫い絞った布を藍甕に静かに沈め浸け、その布の染め液を絞り空気に晒し、空気酸化によって空気が触れるところだけが染まります。

甕に浸ける回数によって様々な濃度の美しい藍色が表れるのです。

 

天然藍が放つ美しさには職人の技が凝縮されています。 

田中賢二

 

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工房藍

田中賢二 

 

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